環境省『バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門~OECDガイダンスを参考に~』を発表

環境省『バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門~OECDガイダンスを参考に~』を発表

「デュー・ディリジェンス(due diligence)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本では、この用語は、投資やM&A(合併・買収)の際に事前におこなう、対象企業への調査活動という意味で広まっています。たとえば、これから買収しようとしている企業がどのような状態にあるのか、法務、財務、税務、情報システム、知的財産、顧客、不動産、人事、環境など、さまざまな観点からの調査がデュー・ディリジェンスに含まれています。

しかし、本来、「デュー・ディリジェンス(due diligence)」という言葉はもう少し広い射程を持っています。「due」は「(注意などが)適切な」、「diligence」は「(当然払うべき)注意」という意味で、直訳すれば「due diligence」は「当然払うべき適切な注意」となります。そして近年では、責任ある企業行動のあらゆる側面における課題への対応として、「デュー・ディリジェンス」が見直される流れがおこっています。2018年に経済協力開発機構(Organisation for Economic Co- operation and Development : OECD)が公表した『責任ある企業行動のための OECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス』がその典型例です。責任ある企業行動のなかでも、特に人権分野と環境分野でのデュー・ディリジェンスの活用する動きが活発になってきています。

こうした流れを受けて、環境省では2019年9月に「環境デュー・ディリジェンスに関する検討会」(検討会ウェブサイト)を設置し、議論を重ね、2020年8月4日に『バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門 ~OECDガイダンスを参考に~』というタイトルの手引書を公表しました(環境省プレスリリース)。弊社の立川も環境デュー・ディリジェンスに関する検討会の委員を務めており、『バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門』の作成に尽力いたしました。この入門書は、上記のようなデュー・ディリジェンス概念の変遷を含め、OECDデュー・ディリジェンス・ガイダンスの内容が、日本企業が現在おかれている文脈から解説されています。

日本におけるさまざまな業種・規模の事業者に、デュー・ディリジェンスの動向をキャッチし、現行の社内マネジメントシステムとの関係を把握したうえで、デュー・ディリジェンス・プロセスを取り入れる際の参考としていただければ幸いです。

【関連リンク】

環境省. 2019. 『バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門〜OECDガイダンスを参考に〜』https://www.env.go.jp/press/files/jp/114470.pdf(2020/08/28確認)

経済協力開発機構(OECD). 2018. 『責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス』https://mneguidelines.oecd.org/OECD-Due-Diligence-Guidance-for-RBC-Japanese.pdf(2020/08/28確認)