COP27: 2つの重要な成果

COP27: 2つの重要な成果

今年11月、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催され、気候変動に対する更なる行動をとるにあたり、重要な節目となりました。

Inogen Allianceのメンバーで、カイロを拠点とする環境コンサルティング会社Integral Consult社の社長、アミール・アブデル・アジズ博士は、COP27における議長チームの一員として、「緩和と透明性(Mitigation and Transparency)」チームをリードする重要な役割を担いました。
今年の画期的な進展と将来の展望について、Inogen Allianceに提供された博士の洞察を要約してご紹介します。

世界経済が低迷し、欧州の戦争が地政学的な関係を緊張させ続ける中、COP27が測定可能な成果をあげられるかどうかが世界的な関心事となりました。このような経済的・政治的な問題にも関わらず、COP27の参加者は、気候変動とその影響に対処するための新しい革新的なプロジェクトを開発し、合意することに前向きに取り組みました。
今年の会議では、「ロス&ダメージ」基金の合意と「緩和ワークプログラム」の策定という、2つの重要な成果を得ることができました。

気候変動の不平等および貢献国と被災国の問題は、長年にわたりCOPの主要議題でした。
これに対応し、1992年のリオデジャネイロ国連環境開発会議において、「共通だが差異のある責任(CBDR)」の原則が採択されました。

そして、2013年のCOP19では、パキスタンの洪水やソマリアの気候緊急事態と飢饉の災害で経験したような、気候関連の異常気象の結果として発生する経済的・社会的損失に対処するために、「ロス&ダメージ」が導入されました。

COP27では、会議締約国が統一した立場を示し、ロス&ダメージ基金を設置することについて合意に達することに成功し、その制度的インフラと資金計画を来年中に明確にすることになりました。来年にかけて、先進国および途上国の代表者24名からなる移行委員会が、アラブ首長国連邦(UAE)でのCOP28における合意事項の実施に向けて、技術的作業を実施する予定です。これは、気候変動の不平等に対処するための正しい方向への重要な一歩となりました。

また、グラスゴーでのCOP26で合意された、、地球の気温上昇を1.5度に抑えるという野心的な目標についても激しい交渉の末、緩和作業プログラムが採択されました。
議長国としての役割に加え、緩和担当チームを率いた アミール・アブデル・アジズ博士は、緩和作業プログラムは 1.5 度目標に向けた 2030 年までの緩和の野心と実施の規模を拡大することを目的としたものであると報告しています。

過去数年間、石炭はエネルギー市場に再び登場し、エネルギーシンクタンクEmberによると、2021年の石炭発電量は9.0%増の10,042TWhとなり、過去最高を更新し、前回2018年の記録を2%上回りました。
COP27 は、グラスゴーで出された石炭の段階的削減を含む緩和に関連する全ての問題を想起し、強調し、再確認して、1.5 野心を維持しました。締約国会議は、温室効果ガス排出を緩和するための行動を強化し、途上国への資金、技術、技能、能力開発支援を強化することを明らかにしました。

アミール・アブデル・アジズ 博士は、COP27 の成果と議長団としての自身の役割について、次のようにコメントしています。

「議長職は本当に大変な仕事です。締約国間の交渉を促進し、議題や会話を前進させることは、決して簡単な仕事ではありません。交渉に多少の苦労はあったものの、私たちの評価では、COPは成功したと言えるでしょう。歴史的な進展があり、私たちの期待をはるかに上回る成果が得られました。シャルム・エル・シェイクで達成したことは、締約国にとってバランスのとれた成果であり、気候変動 を緩和するという我々の世界的な約束を明確に再確認するものであったと確信します。」

アラブ首長国連邦(UAE)で開催される次回のCOP28に向けて、化石燃料の段階的削減の進展を妨げないことが不可欠であると言えるでしょう。


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